一粒ダイヤのピアス

f:id:well1976:20161123220824j:plain

10年程前在籍していた職場で、
別部署の年上の女性の耳にキラリと光るピアスを見つけた。

オフィスで悪目立ちするようなものではなく、
小ぶりのものだったと思うが、
異様なほど存在感を示していて、思わず
「それ・・・」と言いかけたら、

「40になったから、自分で買ったの」
と、その聡明ですらりとシンプルな装いの女性は言った。

当時30前後だっと私は漠然と、
40になったらダイヤのピアスも似合うんだなぁ、
と思っていたが、
いざ自分がその歳になってみると、似合うとは言い難い。

宝飾品やアクセサリーに興味のない私が
ダイヤの輝きにだけには心惹かれるのは、
彼女のピアスのせいに違いない。

決める

f:id:well1976:20161119160147j:plain

いつから自分はこんなにつまらない人間になったのだろう?

端的に言えば、結婚がひとつの岐路だった。
そもそも自分は生活スキルの1つとして八方美人道を究めてきたが、
ひとりの時間は思う存分「自分」をやっていた。
が、結婚でそのひとりの時間は無くなった。

結婚したことに不満があるわけではない。
結婚して良かったと思う。
でも、「自分」が消滅した。
正確には、知らぬうちに自分で「自分」を封印したのだ。

先日見たドキュメンタリ番組で、
60を少し過ぎた素敵な女性が20万円の額縁を、
自分の作品を飾るために選んでいた。
正確には思い出せないが、
独特の感性を持つご主人と結婚して30年経ち、
「これからは自分の好きなように生きると決めたの」
というようなことを言っていた。

きっと、離婚したいとか怒りとか、そういうことではないのだ。
彼女は「決めた」のだ。

 私も決める。