一粒ダイヤのピアス
10年程前在籍していた職場で、
別部署の年上の女性の耳にキラリと光るピアスを見つけた。
オフィスで悪目立ちするようなものではなく、
小ぶりのものだったと思うが、
異様なほど存在感を示していて、思わず
「それ・・・」と言いかけたら、
「40になったから、自分で買ったの」
と、その聡明ですらりとシンプルな装いの女性は言った。
当時30前後だっと私は漠然と、
40になったらダイヤのピアスも似合うんだなぁ、
と思っていたが、
いざ自分がその歳になってみると、似合うとは言い難い。
宝飾品やアクセサリーに興味のない私が
ダイヤの輝きにだけには心惹かれるのは、
彼女のピアスのせいに違いない。
決める
いつから自分はこんなにつまらない人間になったのだろう?
端的に言えば、結婚がひとつの岐路だった。
そもそも自分は生活スキルの1つとして八方美人道を究めてきたが、
ひとりの時間は思う存分「自分」をやっていた。
が、結婚でそのひとりの時間は無くなった。
結婚したことに不満があるわけではない。
結婚して良かったと思う。
でも、「自分」が消滅した。
正確には、知らぬうちに自分で「自分」を封印したのだ。
先日見たドキュメンタリ番組で、
60を少し過ぎた素敵な女性が20万円の額縁を、
自分の作品を飾るために選んでいた。
正確には思い出せないが、
独特の感性を持つご主人と結婚して30年経ち、
「これからは自分の好きなように生きると決めたの」
というようなことを言っていた。
きっと、離婚したいとか怒りとか、そういうことではないのだ。
彼女は「決めた」のだ。
私も決める。
ブログを始める
40になってしばらく経つ。
最近なんだか思うところがあり、このドロドロとした心のうちを吐き出してみようと思う。