一粒ダイヤのピアス
10年程前在籍していた職場で、
別部署の年上の女性の耳にキラリと光るピアスを見つけた。
オフィスで悪目立ちするようなものではなく、
小ぶりのものだったと思うが、
異様なほど存在感を示していて、思わず
「それ・・・」と言いかけたら、
「40になったから、自分で買ったの」
と、その聡明ですらりとシンプルな装いの女性は言った。
当時30前後だっと私は漠然と、
40になったらダイヤのピアスも似合うんだなぁ、
と思っていたが、
いざ自分がその歳になってみると、似合うとは言い難い。
宝飾品やアクセサリーに興味のない私が
ダイヤの輝きにだけには心惹かれるのは、
彼女のピアスのせいに違いない。